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Fujifilm X30とX70とX-T100とiPhone 7plusで撮るフォトブログ

X-T20

昨日、鎌倉駅で月を撮った後、用事を済ませて同じ場所に戻って見ると、同じように駅舎と月を撮っている人がいた。通り過ぎて振り返ると、X-T20を構えていた。

 

【Xにうってつけの日 #41】 それは何度目かの同窓会だった。隣には、高校生の頃に憧れだった人がいた。 ぼくは勉強もスポーツも得意じゃなくて、ぱっとしない存在だったけれど、写真に関してだけは校内では有名だったから、修学旅行や学園祭などで「写真を撮って」と女子から頼まれることは多かった。卒業を控えて記念に撮影を依頼されることもあった。なかには校内で人気の子もいたから、同級生から羨ましがられた。 でも本当に撮りたいのはその人だった。ついに卒業まで声をかけることはできなかったけれど。 「東京にきれいなものなんて何もないわ。そう思わない?」 彼女はそう言うと、何杯目かのグラスを空にしてテーブルの上に置いた。高校生のとき、その指を見た記憶がなかった。 「どうかな」とぼくは答えた。 正直なところ、自分の気持ちがよくわからなかった。田舎が嫌で上京したけれど、東京でかけがいのないものを見つけたかといえば、そうではない。でも故郷の自然を懐かしいとも思わなかった。写真を撮っていくからには憧れと慈しみは欠かせない。それを見失いかけていた。 ぼくが話す番だったけれど、返答に困っていたからか、彼女が口を開いた。 「ただ、夜景だけは美しいと思う」と遠くを見るように言った。「人が作ったものだけれど、自然にまさる美しさを感じるの」 なにかが心に響いた。その夜に話したことは、あとはほとんど覚えていない。 ときどき仕事帰りに空がきれいだと、そのときのことを思い出す。わざわざどこかに出かけて見る景色ではなく、日常のふとした瞬間に、見慣れたはずのものが美しく見えるときがある。 東京を美しい街だと思ったことはない。でもそこに美しさを感じるときがあって、ぼくはそれを大事にしたいのだと思う。記憶色とはそんな願いにぴったりな言葉だ。 また同じように空が美しく色づく日はあるだろう。街の景観もそう変わらないはずだ。でも今日しか感じられない美しさがある。それを写真に残しておくことの大切さを、かつて憧れた人が教えてくれて、Xが思い出させてくれた。 内田ユキオ http://fujifilm-x.com/ja/photographers/yukio-uchida/ https://www.facebook.com/yukio.uchida.187 - FUJIFILM Xseries Japan | Facebook